カリカリ杏の作り方

梅の保存食の一つにカリカリ梅というのがあることを知ったのは、今年になってからです。sikouhinaさんから教えていただきました。関東生まれ関東育ちの私にとって、カリカリ梅といえば、卑近な例を挙げれば、シウマイ弁当のご飯の上に、ちょこんと載っている小さな赤い梅干しのことでした。果肉の部分は少ないけれど、白いご飯とマッチして好きなおかずの一つです。

また私自身は、結婚以来かなりの間、梅干しを手作りしてきました。子供の頃、叔母が庭で採れた梅を使って、毎年漬けていた梅干しが大好きで、大人になったら自分で漬けてみたいと思っていたからです。

今回、日本に一時帰国した際も、10キロ近くの梅干しを漬けてきました。そんな中、sikouhinaさんの作るカリカリ梅と出会って、塩辛い梅干しか知らなかった私は、甘塩ぱいカリカリ梅にすっかり心奪われてしまいました。

豊後梅で作ると伺ったので、長野に行った時に豊後梅を探したのですが時期が早かったようで、購入には至りませんでした。そこで無いよりはましだと思い、手に入った南高梅で一キロ程作ってみたのです。出来上がって味見をしたところ、素晴らしい味でした。カリカリ梅そのものも美味しいし、漬け汁を水で割って飲むこともできます。

そこで、パリに戻ってからは、何とか杏で作れないかと思って試作してみたのが、以下のレシピです。ほとんどカリカリ梅と同じですが、分量などは今後の参考になると思い、控えておきました。sikouhinaさんは、8キロの梅で漬けていましたが、私は半分量の4キロで漬けました。

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カリカリ杏

【塩漬け】

材料

杏 4キロ

ウォッカ又はラム酒 カップ2

塩 カップ1杯半

①まず、小さくて硬めの杏を購入する。見た目も梅に似ている杏を手に入れると良い。

今回は、1パック⒈25キロのものを3パック購入。約4キロと考えて、sikouhinaさんのレシピを参考にさせていただいた。

②杏を一晩水に浸けてアクをとる。

③杏を洗い、ザルにあげて水気を取る。

④楊枝などで、杏の蒂を取る。梅と違って、大抵の杏は蒂が少ない。

⑤ジップロップなどの袋にラム酒を振り入れ、袋をまず消毒し、その後、杏を入れて、次に塩を入れて袋の上から揉む。だいたい1キロ1袋の感じで、4袋できるので、四段に重ねてから、ミネラルウォーター⒈5ℓ入りのを3本くらい載せて、重石がわりにする。冷蔵庫に入れなくても、二日くらいで水が上がってくるが、全体で3日ほど漬ける。杏によって水の上がる時期は変わるようですので、漬ける日数は調整してください。


【種取り】

材料

ラム酒 ⒈5カップ

杏  4キロ

①塩漬けした杏を手に持ち、ナイフで杏の窪みの線に沿って切る。切ったところに二本の親指を差し入れ、二つに裂く。梅と違って杏は身離れが良いので、すぐに種が取れる。

②ラム酒1.5カップをボールに入れ、杏を消毒する。

③ラム酒をまぶした杏を消毒した瓶に並べて入れる。


【赤紫蘇の下ごしらえ】

材料

赤紫蘇  適量

塩  大さじ2杯

ラム酒  少々

白杏酢(杏を塩漬けした時に出る漬け汁) 少々

①赤紫蘇を茎から葉っぱだけ外し、水を3回くらい換えてよく洗う。

②笊に上げて、水を切る。

③完全に乾かしてから塩で揉んだ時には、なかなかアクが出なかったので、多少水気があった状態でも良いと思う。赤紫蘇をボールに入れ、塩を大さじ一杯入れて良く揉む。力がいるので、ボールを低い位置に置いて、全身の力を傾けるようにして揉む。赤黒い液が出てくるので捨てる。その後、水でよく洗って絞った後に(水で洗わないでそのまま揉む方法もある)、再度塩大さじ一杯入れてよく揉む。また赤黒いアクが出るのでよく絞って捨てる。

④絞った赤紫蘇にラム酒を振りかけ、塩漬けした時に出た白杏酢を加える。


注意点

パリで売っている赤紫蘇は、ご覧の通り裏表で色が違う。そのためか、杏酢を加えてもあまり赤くならなかった。できれば、水洗いは避けた方が良さそうである。

【本漬け】

材料

砂糖400グラム

林檎酢2.5カップ

白杏酢2.5カップ

①砂糖を少量の水とともに煮溶かす。

② ①で煮溶かした砂糖を冷ましてから、林檎酢と白杏酢を加えて、瓶につめた杏の上から注ぎかける。

③ 杏の上から塩揉みした赤紫蘇を載せる。

④瓶の形態上、重石が載せられないので、このまま様子を見ることにする。

⑤5日から一週間位すると。紫蘇で赤く染まるので食べられる。

⑥冷暗所に保存する。

数日経ったので、カリカリ杏を食べてみた。甘塩っぱくて梅干しとは一味違う。赤紫蘇ジュースの残りの葉っぱで作った佃煮と一緒におにぎりにしたところ、ひなびた懐かしい味だった。これから一年かけて、ゆっくりと楽しんで食べていきたい。

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sikouhinaさんに教えていただかなかったら、カリカリ梅の美味しさは一生知らずにいたことでしょう。人生における食べる楽しみの一つを知らずに、過ごすところでした。sikouhinaさんには、心から感謝申し上げます。

そして、このレシピをご覧になられた方々が、カリカリ梅をお作りになり、美味しさを共有できたらこれ以上の喜びはありません。

これを契機に、日本に伝わる保存食にとても興味を持ちました。カリカリ梅を杏で作ることで、海外で梅を手に入れることができなくても、カリカリ杏として食べることができます。このように代用できるものを見出し、全く同じにはできないまでも、懐かしい故国の味を再現できるのは幸せなことです。今、興味を持っているのは、杏の紫蘇巻き。さてパリで出来るでしょうか?乞うご期待。

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